
【概略】車椅子生活のクリスティーヌは「奇跡の水が湧く」聖地ルルドへ訪れる。その後奇跡的に立てるようになったが、周りの羨望や嫉妬を引き起こし…。
ドラマ
.0★★★★☆
万病を治すとされる奇跡の地ルルドの巡礼ツアーに参加した多発性硬化症のクリスティーヌ。奇跡を願ったというよりは、観光気分。この巡礼にきた団体客の様子を淡々と描いている作品ですが、細かい色々な意味深さと静謐さがどこかハネケ作品っぽいなあと思ったら、ハネケ監督に師事してた監督さんだったんですね、なるほどー。
車椅子のクリスティーヌに奇跡が起こり、歩けるようになる。なぜ彼女だけなのか。そこに、嫉妬や羨望などの下辺で冷たい人間の心の闇が透けてくる。状況によって変わる人の感情の残酷さが鋭く辛辣に描かれていると思います。
主演のシルヴィー・テステューさんが良かった。少し遠慮気味のかすかな幸せが不安に変わっていく表情が巧い!レア・セドゥさんは奔放で色恋に夢中な介護ボランティア役を演じていましたがこちらも印象に残る。
クリスティーヌは特別信仰心が厚いというわけではない。だからこそ周囲の人々が見せる彼女への「なぜ自分ではなくあの子が?」という気持ちが伝わってくる。彼女がツアー最終日のお別れパーティのダンスで転んだ時、一瞬どこかほくそ笑むような心理の周囲の人々の様子が面白い。
しかし巡礼の地はもはやテーマパークのようですね。確かに観光気分で行けちゃうかも知れない。
なんともいえないモヤっと感が後を引きます。


コメント