
【概略】
タイ東北部の村の祈祷師一族の血を継ぐミンは、突如人格が変わったように凶暴な言動を繰り返すようになる。途方に暮れたミンの母は、祈祷師である妹・ニムに助けを求めるが…。
製作年:2022年
製作国:タイ
収録時間:131分
ジャンル:ホラー
日本語吹替:あり
.0★★★☆☆
『哭声/コクソン』のナ・ホンジンが製作・原案を務めたホラーで、面白そうって思っていて楽しみにしてたんですよね(劇場にも観に行きたかったけど、こっちでもやってたのかは不明)。結果的には、最後まで見て、反響良かった映画…なの?と思ってしまった。
タイのじめっとした空気感は、ホラーにとても合っている。
異文化の土着的な風習が、不気味にもみえることを当然承知していて撮っているのでしょうね。
女神バヤンの巫女であるニムを取材したという形にし、このニムの一族の話をしていく。
巫女を継承していく一族。ニムが祖母そして叔母から受け継いだ巫女(霊媒)のちから。
本当はニムの姉がなるはずだったが拒否して、体調不良が続き生理も5か月続いた。結果彼女がその状況から逃げるためにキリスト教徒になってしまう事で、女神は妹ニムを選んだ。ニムも嫌で仕方なかったが、体調不良が続き(今も残る自傷の傷跡…)だがある時、女神を受けいれた事で、状態はよくなり代替わりの儀式をして巫女に。なぜ嫌だったのかを思い出せない、とまで。
姉の娘であるミン。このミンの様子がおかしくなり…という話なのですが、次の女神の継承は彼女ではないの?な問題行動の数々…そして、自傷行為。傷ついた娘の姿に「ニム、代替わりの儀式をして。お願い」。姉のノイの言葉にニムは言う…「出来ない。憑いているのはバヤンじゃない」。
不思議だったのは、男には悲運が続く一族なのに、女の家族には神の巫女の役割があるということ。それは本当に良い女神なの?
ミンが夢を見たと言っていたとおりに女神バヤンの石像の「首」が落とされて…完全にミンが何かにとり憑かれてしまう。
逃げたミンが紡績工場跡にいたことや兄マックの自死…これは深い因縁があるぞと思っていたら、ニムがミンを信頼のおける霊媒師サンティにみせる。
そもそもはただ運が悪い家系という事ではなかった。遠い昔…ヤサンティア家は大勢の首をはね、つまり祖先が悪いカルマを作った。「そして女神を拒んだ女を妻にした」というところで私ドキッとしちゃった。あー、悪いほう悪いほうに繋がって、女神の巫女を拒んだ姉すらも、その中に入っていたのかと。
ただ途中からパラノーマル・アクティビティみたいにPOVホラーになるとこは…正直、微妙。ミン役の女優さん、気合はすごく入っているんですけどね。
ニムは儀式前日睡眠時に死亡。そして儀式当日…。
ヤサンティア家を呪う釘が刺さった人形が、妙にリアルでした。
要約してしまえば、実際のところはありきたりの悪魔祓い、POVホラー、ウイルス系ゾンビパニック…みたいな展開なので、たぶんワンちゃんのあの描写とかで嫌な気持ちにはさせてくれる映画ではありますが、特に目新しさはなく。最初は序盤で退場しそうだなあと思ってた兄のマニが、実はいいキャラしてたくらい。
ラストの映像のバヤンの巫女ニムの「本当に私の中にバヤンがいるのかわからなくなった」という言葉がまた、何とも言えない。信仰を疑ったとき、全て朽ち果てるところが一番怖い。土着的な宗教観だなあと思う。
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