ヒューマン・ドラマ

たかが世界の終わり

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【概略】
「もうすぐ死ぬ」と家族に伝えるために、12年ぶりに帰郷する人気作家のルイ。母のマルティーヌは息子の好きだった料理を用意し、幼い頃に別れた兄を覚えていない妹のシュザンヌは慣れないオシャレをして待っていた。浮足立つ二人と違って、素っ気なく迎える兄のアントワーヌ、彼の妻のカトリーヌはルイとは初対面だ。オードブルにメインと、まるでルイが何かを告白するのを恐れるかのように、ひたすら続く意味のない会話。戸惑いながらも、デザートの頃には打ち明けようと決意するルイだが―。
製作年:2016年
製作国:カナダ
収録時間:99分
ジャンル:ヒューマン・ドラマ
日本語吹替:なし

.0★★★☆☆
グザヴィエ・ドラン監督作品。本作は珍しく役者をしてない。主人公にギャスパー・ウリエル。
ゲイで(おそらくエイズで)もうすぐ自分が死ぬとわかっていて、12年ぶりに帰郷することにしたルイ。
作家として成功しているルイ、家族は彼がゲイである事を知っている。
明るい母親、皮肉屋の兄、幼い頃しか会っていないからルイに憧れてる妹、そして初対面の兄嫁。彼らはルイを歓待するけれど、誰も「なぜ、12年ぶりに帰ってきたのか」を口にださない。
そして皮肉屋の兄(ヴァンサン・カッセル!)のため、ギスギスした雰囲気に何度もなるのだけど、ルイが何かを言いかけたときに、兄は弟を強引に家から追い出そうとするんですよね。「お前帰るんだろ、俺が送ってやる」って。
弟が何故12年ぶりに帰ってきたのか、兄はわかっていた。そしてルイの口からそれをさせてしまえば、なにかしらがポッキリと家族の中で折れてしまうのを、家族を養い守ってきた兄だからこそ知ってたんだ。
家族間の隙間を埋めようとして埋められないもどかしさ。実にドランらしい映画。兄嫁だけは「あとどのくらい?」とはっきり言えるほど、家族的な温度差がある。
また、ルイも、家族に引き留められて、言うべきか言わないべきかで態度が曖昧になる。
ルイは帰郷しないけれど家族の誕生日には毎年絵葉書を送っていた(なんで絵葉書かというと、長文で書くための「内容」がないから。生存確認みたいなもの)。家族は勿論それを察してたけど、この兄も全部取ってあるんだよね、その絵葉書。
ルイを殴ろうとした兄の傷だらけの拳が大写しになるシーン。家族を守ってきた拳だ。この拳のシーンが、この映画の肝だと思っている。
ほぼやかましい会話劇のため、やはり人を選ぶ映画ではあるよね。
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ジャンル: 映画
テーマ: 映画感想
( 最終更新日: 2021/03/24 Wed )
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