
【概略】
ソウルのタクシー運転手マンソプは「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」という言葉につられ、ドイツ人記者ピーターを乗せて英語も分からぬまま一路、光州を目指す。何としてもタクシー代を受け取りたいマンソプは機転を利かせて検問を切り抜け、時間ぎりぎりで光州に入る。‘危険だからソウルに戻ろう’というマンソプの言葉に耳を貸さず、ピーターは大学生のジェシクとファン運転手の助けを借り、撮影を始める。しかし状況は徐々に悪化。マンソプは1人で留守番させている11歳の娘が気になり、ますます焦るのだが…。
製作年:2017年
製作国:韓国
収録時間:137分
ジャンル:ヒューマン・ドラマ
日本語吹替:あり
.5★★★☆☆
ソン・ガンホ主演。
学生デモやなんやらで混乱する光州へと向かうタクシー運転手のマンソプ。
市民一同がデモをし、政府側から酷い扱いを受けているところをカメラで撮るドイツ人記者ピーター。
通訳のク・ジェシク青年と、ピーターを乗せてマンソプはわけもわからず光州へ行くことになり、その惨状をみるのだけど、マンソプはまだ幼い娘を家に残しているので、早く帰りたかった。
光州の人の人情に触れ、キムチが辛かったり、歌を歌ったり。そんな平和な状況とは裏腹に、光州の惨状は悲惨すぎた。
ク・ジェシクが人質にとられ、10数えるまでに出てこないとこいつを殺すというので、ク・ジェシクが僕が英語で頼んでみますといい、「世界に映像を届けてください。早く逃げて!」と英語で伝え、マンソプとピーターは逃げる。
ピーターが日本に帰れば、映像を世界に届ける事が出来る。ク・ジェシクは自分の命よりもそれを優先したのだ。
単純に10万ウォンという大金につられてきた自分が、みじめで恥ずかしく感じたのだろう。
光州では、軍人が市民を襲っていた。新聞には真逆の事が描かれていた。そして、おにぎり…。おにぎりをくれた女性はどうなったのか。一瞬、食堂でおにぎりをもらった時にそう感じたはずだ。
一度帰ろうとしていたが、光州へ戻ってくるマンソプ。病院へ行くとク・ジェシクも殺されていた。
あまりにも酷い惨状に呆然としているピーターに、「あんた撮ってくれ。世界に真実を伝えてくれ」と頼むマンソプ。
助けようとしている人をも、撃ち殺しにいく軍人たち。「なぜこんなむごいことを」そしてタクシーでまだ生きてる怪我人を助けに行く。マンソプも加わった。「俺はタクシー運転手だ」
最初はどうしようもないタクシー運転手だったマンソプが、光州の現状を知り、涙を流し人々を助ける。
そして、韓国人記者にも「あなたは帰って真実を伝えてください」と言われ、マンソプとピーターはソウルへの帰途につくことに。
検問所でも、外国人は通すなと言われてカーチェイスみたいになるんだけど、タクシー運転手の仲間たちが助けてくれるのだった。彼らも無事には済まないだろうことはさすがにマンソプにもわかってた。
カメラをクッキー缶にいれて隠して、予約の便より早い飛行機に乗ることに。彼の映像により、世界に真実を伝える事が出来た。
時代は巡り、ピーターはタクシー運転手にまた会いたいと思っていたのだけど、マンソプは偽名を残していた。
結局、会う事は叶わずピーターは2016年に死去したらしい。
ガンホさんは、自分と同じ世界なのに、ソウルと光州の違いに、ショックと呆然としたものを感じたタクシー運転手を好演していました。時代が…といってはあれなのですけど、日本でも同じように昔、学生運動とかもあったし、そのときだって同じような「嘘」と「真実」があったのだろう。あと光州事件が1980年だった事に驚き。これは私の個人的な事なのですが、誕生年だったりします(1980年6月)。私がまだ赤子だった頃にこんなことがあったとはと、正直なんともいえない気持ちになりました。
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コメント
ソン・ガンホで貧乏人で後から正義に目覚めるって話なら鬼に金棒みたいなもんだろう。
こんばんは。
それわかります(笑)
あ~そう書けばよかったのか。
好演していました、では伝わらないですよね。
本作でも、貧乏人だけど正義に目覚めるタクシー運転手でしたもんね
こんなことがまかり通っていたなんて。情報操作って怖いなと思いました。現在でもいつ起こるかわからないし、海外では実際そんな感じだし…。
私もだいたいこれくらいの頃に生まれたので、なんだか他人事ではないような気持になりました。
こんにちは。
ほんとですよね。これが1980年って!って思いました。
なんとなく、日本の学生運動とかも、自分の世代じゃないからって
遠いイメージがあったのですが、本作が1980年ってことに、ほんと驚きました。
日本も政治家たちがアレでもう沈みかけてるし
学生運動とは言わずとも、色々な運動起きてもおかしくないですよね