ヒューマン・ドラマ

ワンダー 君は太陽

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【概略】
顔に障害を抱え、27回も手術を受けている10歳の少年、オギー。一度も学校へ通わず、ずっと自宅学習を続けてきたが、母のイザベルは心配する夫の反対を押し切り、5年生の新学期から学校に通わせることを決意する。しかし案の定、学校ではイジメに遭い、孤立してしまうオギーだったが…。
製作年:2017年
製作国:アメリカ
収録時間:113分
ジャンル:ヒューマン・ドラマ
日本語吹替:あり

.5★★★★☆
天才子役と言われてるジェイコブ・トレンブレイ君が、本作では顔に障害を持っている男の子を好演。ジュリア・ロバーツ、オーウェン・ウィルソンらが共演。
遺伝子疾患により他の子とは違う容姿を持って生まれてきた10歳の少年オギーと、彼を支える両親、姉、そして友人たちの成長を、温かく爽やかに描いた本作。これ泣けるって言うより最後凄くあたたかい気持ちになれた。いや、確かにたびたび胸がツーンときていたけど。
オギーが面白くて可愛らしくて。それにヴィアとミランダもジャックもサマーもみんないい子。
オギーの存在で周りが変わっていくってのもあるけど、みんなもともと持ってる「素直さ」みたいなのを失ってないんだよね。
高校に進学してヴィアを無視しはじめた親友のミランダでさえ、その根本には家庭環境が変わった中でもがいて苦しんでたわけだし、彼女だって幼い頃からヴィアの一家と家族ぐるみの関係を築いてたから、オギーを差別なんてしない(むしろ弟のように思ってた)し、一見頼りなさげな無口なヴィアがどれだけ心が強いのかとかも理解しながら、親友一家に憧れつつ本音をなかなか言えなくて…。私、彼女最初は高校デビューしたいだけかと思ってたんですよ。でも違った。
劇中でも言われていた事だけど、オギーが太陽で、そしてその周りを両親や姉、周囲の人々が惑星になり回ってる。影響しあいながら、照らされながら。
「顔は見慣れる」というジャックの思いもありましたが、外見は醜くとも、心の美しさは、一目ではわからないもの。
ジャックが「オギーは面白い」とか、「学校中で一番彼と友達になりたい」って思ってくれたところとか、もうね、もう私尊くて観てられませんでした(がっつり見ました)。
オギーは確かにゾンビ顔とかなんとか菌とか色々言われてたけど、最終的にはみんな、そのオギーの面白さや優しさ、強さに気づいていくんですよね。みんなと違う事を個性と認めていけるって、凄く勇気のいること。
物語は、オギーの視点だけではなく、姉のヴィアや、友達になったジャック、ヴィアの親友ミランダなどの視点からも描かれました。
みんな思春期の壁にぶち当たってて、でも最後には全部うまくいくというある意味都合のいい場面もありましたが、それよりも押しつけのお涙頂戴になっていない演出がとてもうまく、校長先生や教師の台詞などにもハッとさせられる場面もあり、なにより、オギーの家族の団結力というか、お互いを支えあってるのがとっても素敵でした。
オギーにばかり目がいって、まるで両親をとられたような感情もたまに持つ姉のヴィアだって、いざオギーが落ち込んでいると、さすがはお姉ちゃんです。だって、弟の事大好きなんですものね。ミランダがこの一家の事が好きなのも、距離を置きたがったのも、でも寂しいのも、全部理解できる。
話に新鮮味はないかもしれない。だけれど、本作はこの「王道」の展開がとても爽やかで、とても良かった。
正しさよりも優しさを選ぶ勇気や、見た目は変えられないから見る目を変えるという「考え方」も素敵だと思いました。
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ジャンル: 映画
テーマ: 映画感想
( 最終更新日: 2020/11/18 Wed )
  • コメント: 6
  • トラックバック: 4
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コメント

良い作品ですよね

優しさに満ち溢れていて、そういうのは味気なく感じたりあざとさを感じることも多いですが、この作品は素直にその優しさを受け止められました。きっと作り手も作品に描かれていることに共感しながら作ったんでしょうね。

>正しさよりも優しさを選ぶ勇気や、見た目は変えられないから見る目を変えるという「考え方」も素敵だと思いました。

難病ものではあるけど、普遍的なテーマでそれぞれの気持ちに寄り添えました。もっと若い頃に見たかった!

  • fjk78dead
  • URL

「賢い」と「面白い」が両立してると良いのよね。「妖怪人間ベム」のベロみたいな話であり、「エレファントマン(実は未見)」みたいな話でもある。ホラー映画寄りだと「賢くって面白くても」友達になるには限度があるってキャラが出てくる事もあって、それはそれで切ない。

宵乃 さんへの返信

こんばんは♪
そうそう、この手の作品ってあざとさを感じてしまう作品も多いですよね
でもこれ、そういうのがなかったのでとてもハッピーな気持ちになれました
あのいじめっ子の少年も、根はそんなに悪いやつじゃなかったのかも…と思ってしまう最後のひとこと「校長先生、ごめんなさい」でしたし。

あ、そうかぁ、これ難病ものですよね
外見は見慣れるってのは、美人も3日たつと飽きるみたいな話でもありますし、やはり人間中身なんでしょうねえ。内面の良さは、その人と接してみないとわからない。
私は長女の立場でしたので、ヴィアのお姉ちゃんっぷりが刺さりました
たまに、「私のほうをみて!」って両親に思ったりするけど、決してそれで弟を責めたりしないし、弟の事大好きだし。
亡くなったおばあちゃんの台詞がまた凄く良かった。「オギ―には天使がたくさんいる。でもあなたには私がいる」みたいなやつです。
ミランダの気持ちにも共感しました、あんな素敵な家族が隣にいたら、自分の家庭環境と比べてしまって、そりゃあねえ…みたいな。

fjk78dead さんへの返信

こんばんは♪
いじめっ子ちゃんも、停学からの転校じゃなくて、
あの林間学校みたいなところで7年生にからまれるところで
オギ―が守る&戦う姿勢をとることで、「こいつ…」みたいに思って仕方ないから友達になってやるよ、みたいな展開だったらみんな救われたような気がします。そこだけちょっと気になりました。
オギ―少年の賢さと面白さに最初に気づいたジャックが、「学校で一番友達になりたい!」と思っているのに、正反対の事を言う事で、いわゆる思春期的な「みんなにあわせる」処世術を使ってたところとか、妙にリアルな面もありましたね
エレファントマンは私も未見です(笑)
ホラー寄りだと、賢さと面白さを持ってても、こいつぁ無理だぜ!にはたしかになりそう。

王道ながら(だから?)、ここまでしっかり感動させられると、もう、素晴らしい!としか言えません。
甘いと言われたとしても、善意とか愛情とかに、映画のうえであっても、包まれると幸せなのですよねー。

ボー さんへの返信

こんばんは。
ほんと、ほんとですね!
凄く優しくてあたたかな感動作でした。
こういう作品は、奇をてらう演出は不要ですね。
なんだかんだいっても、人間やはり「幸せ」に包まれるとほっこりしちゃいます。素敵な作品でした!

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