
【概略】
数百人の学生がウトヤ島のサマーキャンプに参加し、活発に国の未来について語り合っている中、突然の銃声があたりをつんざく。何が起こっているのかわからないまま、仲間たちと森へ逃げ込んだ少女カヤ。銃声は止むことなく、学生たちは島中を逃げ回る。カヤは恐怖のまっただ中でありったけの勇気を奮い起こし、はぐれた妹エミリアを捜し始めるのだが…。
サスペンス
.0★★★☆☆
72分間のワンカット撮影。少年少女たちが無差別に銃撃された72分という時間が、リアルタイムで描かれる。
ただ、ワンカット撮影はもっと他にも優秀な作品があるので(「スペイン一家監禁事件」とか)、新鮮味は私はさほどなかったかな。
警官がみんなを撃っているという逃げてきた青年の情報から混乱する友達たちの様子がリアル。何が起こってる?パニックになり、放心したりどうすればいいのかわからない。そんななか少し反抗期の妹のエミリエを探し、カヤは動く。
実際にあった凄惨な事件をフィクションとして映画化した本作は、映画にするにあたって入念なリサーチを行い、証言や演出を絶妙な視点で(カヤが主人公のようだけど、実際には誰も主人公ではない)描くことに成功してた。
ただ、生存者を主人公としたものではないようなので、その点においてリアリティさが不足してる感は否めないものの、一応カヤの視点で動くストーリーの中で、犯人(犯人たち?)の銃撃シーンが一か所だけで、あとは全部若者たちの悲鳴と遠くなったり近くなる銃声で想像する恐怖というものが表現されてた。
途中で負傷した女の子を助けようとしたり(ここのシーンはなかなか良かったと思う)、黄色のコートを着てたトビアス少年を森へ逃げ込ませたりと、妹を探すカヤの行動は勇気があり人間味もあった。しかし、死亡フラグをたたせるために海岸での会話や歌があったりと、そこは正直冗長にも感じた。
兄を待ってたトビアス少年も撃たれてた…。その時に本当のパニックと痛みと悲しみが襲ってくるカヤの姿と呆気ない死に、姉の黄色のセーターを着たエミリエは、すでに助かっていたという事実は、なんともいえない気持ちにさせた。いや、助かったのはいいんだよ。いいんだけどさ…。
最大の難点は「銃声と逃げ惑う若者たち」だけで72分の緊張感は保てないことだよね。森の中でなんて、銃声が聞こえてるだけだしねえ。森に最初隠れたところでの「うるさいのよ、めそめそしないで!」と警察に電話してた女子、強いなあ…。
- 関連記事
コメント
コメントありがとうございました。
ラストは結構自分的にはショッキングでした。
救いでもあり絶望でもあり、で胸が締め付けられてしまいましたねえ。
仮にもし自分がこういう事件に出くわしたらどういう行動を取るのか、てのを考えたら、殆どの答えが映画内にあって、それが私にとっては引き付けられた要因だったのかもと思っています。
もし私だったら…速攻で撃たれてたと思います。
カヤのような勇気も行動力もなく、
皆について逃げ惑っていただけでしょう。
その点カヤは妹思いで、妹を探さなきゃ!という使命感にも似たものを感じました(長女だから?)
妹が船に乗ってる救いと絶望感よりも、私はカヤの最期のほうが印象に残りました。
「政治家になりたい」そんな夢を語っていた直後でしたから。