
【概略】ありふれた時間が校舎に流れる「金曜日」の放課後。1つだけ昨日までと違ったのは、学校内の誰もが認める“スター"桐島の退部のニュースが校内を駆け巡ったこと。
青春
.0★★★★☆
タイトルの桐島君自体はきちんと出てこない作品です。
学校内における上、下の階層なんかはリアルだったなあ。友達関係の中でもあるゴタゴタとかさ。不自由な閉鎖空間の中で生きてきた学生だった人なら、なんとなくわかるはず。
構内風景や会話も現実味がある。映画部のタイトルで笑いが起こるのも、実際そこにいたらおそらく私も笑うだろうと思うし。そんなリアリティのある学内風景の中での、ザッピング形式の登場人物たちのちょっとした日常の変化を描いた群像劇的な世界観を基盤とした映画なのかな。桐島の彼女、友達、みんなが部活を辞めたことを知らなかった。
単純に桐島が部活を辞めただけの映画なんですけど、登場人物の感情や葛藤とかが上手く織り交ぜられていた作品でした。
知ってる有名映画のタイトルがポンポン出てくるところは、なんかにやけちゃったんだけれど(笑)吹奏楽部の演奏と共に屋上の「こいつらみんな食い殺せ!」のシーンはなぜだか感動してしまったよ。ファインダー越しに映画部監督・前田が妄想するゾンビ世界が素晴らしい出来だった。これ邦画の中ではトップクラスの出来のゾンビシーンだったのではなかろうか。こういうのが、みたいんですよ。
宏樹の涙はキャプテンの努力や映画部の真剣な姿勢に感化されてだろうけれど、今の自分の立ち位置の虚しさが胸を激しく突いてきたのだろう。登場人物の「誰か」に共感することが出来て、初めてこの作品の面白さが際立つ気がする。
私は下の人間でしたし、仲良し女子グループの中でも「真面目な事を言っても無駄」な人もいたし、努力しても報われない思いを通過してもきたし、真剣に何かに打ち込んでも来なかった。各キャラの色んな部分に共感するところがあって、複雑な思いになったと共に、この作品の出来のよさに驚きました。
そういえば、実は私「映画秘宝」読んだ事ないんですよね…恥ずかしい事実にドキン。


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