
【概略】
夢破れた青年フレンドは、新しい気象観測員として南極海の果ての無人島へとやってくる。そこに暮らすのは、彼と変わり者の灯台守グルナーの二人だけかと思っていた。ところが夜が更け始めると、その島には大群の‘人ではない生き物’たちが押し寄せてくる。灯台を要塞とした、二人VSクリーチャーたちの戦いが始まる。
SFアクション
.0★★★☆☆
主人公は、ある島で気象観測員をすることになるのだけど、島には変わり者の灯台守グルナーがいるだけ。しかし夜が更け始めると、人ではない生き物が大群になって押し寄せてきて…という話。
この魚人(クリーチャー)が人型で、ちょっと見たらヴォルデモート似(笑)でもよくよく見たら愛嬌がある。毎晩灯台に大量に押し寄せてくるので、ここで戦いながら「生きる」ことがかなり大変そうに見える。
あるメスの一匹を「飼っている」らしいのだけれど、フレンドは彼女にアネリスと密かに名前をつけた。
冒頭に使われたニーチェの有名文で、グルナー(実は元の気象観測員アルドール)が、このアネリスを亡き妻の代わりにしてしまったので(暴力を振るうが、アネリスを犯してた)、その生活を守るためだけに、きっとこの灯台を守ってるんだろうな、とは思った。それは「愛を、愛を、愛を。」と書かれていた夫婦写真の後ろのメモ書きで、わかる。
アクションシーンも毎晩行われるのでそれなりにあり、主人公フレンドの詩的な心の台詞はいまいち響かなかったけども、作品は割と良く出来ていたと思う。なんせこのグルナーの心の闇が描かれていたから。
このアネリスの存在が、なんていうかモヤっとする原因でもあるのだけれど、彼女が作品の肝。
愛するものを失った孤独は、心を蝕んでいく。アルドールがグルナーと名乗ったのも、この孤独の生活から、アネリスとの生活から離れたくなかったからであろう。ラストで、フレンドが新しい気象観測員が連れてこられた時に、冒頭と同じ、「前任者はどうした」「チフスで(死んだ)」と答えたのも、同じであろう。グルナーになるのだ。
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