
【概略】
クーデターによって国を追われた冷酷非道な独裁者が、幼い孫とともに逃亡の旅を続ける中で、自らが犯した罪の重さを目の当たりにしていくさまをユーモアを織り交ぜ辛辣に綴る。冷酷な大統領が支配する独裁国家でクーデターが勃発する。大統領の家族たちがいち早く国外へ避難する中、幼い孫だけは駄々をこねて大統領のもとに残ってしまう。
ドラマ
.0★★★☆☆
んー、独裁者というわりには、その手の描写がなく、どんな冷酷非道な独裁政治を行ってきていたのかがわからない。
ただ、独裁者ではあるけれども国の中核を担う人物がいなくなったら、それは即ち無政府状態だし、先日のハロウィン暴徒化じゃないけど、革命とはいえ指導者がいない暴徒集団と何が違うのか?とは思った。
二人が逃亡中に出会う人々のエピソードが、どれも考えさせられる。
床屋の親子、兵士に強姦される新婚の新婦、娼婦マリア、拷問を受けたあげく自宅に帰りつくと妻がほかの男と結婚しており心の支えを失った革命家…。
独裁者が孫と逃走しているうちに、自分が統治してた国の一般市民がいかに貧困に苦しんできたかや、モラルの崩壊などを見せつけられるのだが、本人は逃げるのに必死で、今まで自分がやってきたことを簡単に悔いたり反省したりすることはないところは良かったように思う。
橋の上で国歌だか行進曲だかを聴いた孫が敬礼して歩くシーンはハラハラしてしまった。
最後に、捕えられ孫が先に殺されかけたシーンにて、孫のために命乞いをしないのが、自分の事しか考えてない冷酷な人間だからなのか、もはや諦めなのかが、表情からも読み取れない。
孫に触るなといってくれたのは、途中から一緒だった革命家のひとり。私たちが拷問されていたときおまえたちだってやつの肖像画を飾っていただろ。今更自由だと笑わせるな、負の連鎖はとめないと、この国の民主化のために、躍らせろ、と。
単に悪い事をしていた独裁者が孫と逃亡しているうちに改心していくというありがちな展開ではなかったことは良かったように思うが、邦題からしてそれを狙っているような感じなのが残念かな。
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コメント
独裁者は北朝鮮と同じで、あまり細かい指示とかしなくても、国家予算の割合を決めるだけでけっこう住み心地が悪い世界になってしまうと思うんですよ。福祉より軍費とかね。日本の戦前の憲兵みたいに、非国民をバリバリしょっ引いて、どんどん有罪にすれば、多めに取った警察や軍の費用から署員へのボーナスがたんまり出る。
そうかもしれません。
特別なにか非道なことをしていなくても、軍事に予算をつぎ込んで国民の生活を守らずにいれば、
それはそれで「独裁者」なのかも。
実際テロリスト(本当にそうだったのかは不明)をガンガン処刑していたわけですし。
しかしそれにしても、エピソードの数々は貧困と無政府状態をさしていて、
じいさん(独裁者)はどう思っていたのだろう。
孫がつるされそうになったときの、孫の泣きそうな表情は凄く可愛らしかったし
独裁者が斬首されそうになっているときの表情は、なんともいえず、
読めない表情で何を考えているのか、そこは想像に任せますという放りっぱなしにもみえました
makiさん、こんにちは!
少し前の映画なのだけれど、makiさんも去年の冬にご覧になっていたのね^^
半年くらい前だけど、まだ記憶のある時にお話出来て、嬉しいです!
>孫に触るなといってくれたのは、途中から一緒だった革命家のひとり
えっつ!そうだったのですね、知らなかった・・・。
今更気がついても、もう返却しちゃって、遅いですが・・・
いやー、なんかハラハラするシーンが多くて、引き込まれましたよ・・・
孫のために命乞いをしないってのが、最期の抵抗なのかなあとも思ったり。
独裁者の心理…なんてわからないので、想像しか出来ないですが
なんでも自分の想う通りにやってきたわけですから、
それがどんな貧困を生んでいるのかというのを、
話では聞いていても身をもって知ることになるのがこの旅だったのでしょうね
でも、結局孫がつるされそうになってるのに声をあげないって、
観ている側からすれば「なんてやつだ!」と思ってしまう。
そこにきて独裁者が弾圧していた革命家のひとりが、独裁者のために声をあげてくれてるんだから、
なんともいえない味がありましたね