
【概略】
TV局で公開番組の収録前にスタジオの観客を盛り上げることを職業とするエンターテイナーの男が、幼い頃から崇拝してやまない国民的歌手を誘拐・監禁する…。
スリラー
.0★★★☆☆
カンヌ映画祭オープニング作品で、どう評価していいのか混乱する観客が続出という難作。こう形容されると物凄く気になりますよね。
まず一番に思うのは、たしかに凄くインパクトのある邦題だけど、合っていませんってことです(タイトルに惹かれたんですが;)。原題は「HEROS」。
ピエロの化粧をするのは後半ですが、テレビ番組の盛り上げ役をやっている男が、国民的人気歌手を監禁して、ある要求をするというもの。ほぼマンションの一室の中での出来事で、そしてほぼ妄想が入り混じった…入り混じるというより、どこが妄想なのかが区別しにくい展開といったほうがいいかも。
どうして原題が「ヒーロー」なのかは、ラストまでみたらよくわかる。
突然現れる男、殺される自分、孤独氏した父の死体、水族館のガラス、なりっぱなしの電話、過去の映像など、支離滅裂な出来事でわかりにくくなってはいますが、歌手との間に芽生える互いへの理解のようなもの、人生に絶望した2人が再生に向かう展開はなるほどと思ってしまいました。道化のコメディアン「ピ」、「クロヴィス」しか必要とされていない歌手。本当の自分と世間からのイメージに苦しむ2人。
「ピ」は射殺されてしまいますが(結構あっけない)、その後歌手は彼の撮ったテープをバックにコンサートで熱唱します。世間からすると凶悪な国民的歌手の監禁事件なのですが、ここには被害者と加害者の同調ではない、犯人と歌手2人しかわからない精神昇華があると思ってます。ラストのコンサートシーンでは不思議と少し胸が熱くなりました。
コンサートシーンで役者陣と監督さんの名前を歌手がいっていくのは面白い演出でした。
コメント