
【概略】
戦国時代を生き抜いてきた猛将、一文字秀虎は70歳を迎え、3人の息子に家督を譲る決心をする。彼は、長男太郎には家督と一の城を、次郎には二の城を、三郎には三の城を譲るので、兄弟3人は協力し合うようにと告げる。しかし、秀虎を待っていたのは息子たちの反逆と骨肉の争いだった。
時代劇
.0★★★★☆
黒澤監督のカラー作品。シェイクスピアのリア王がモチーフにされています。確かにリア王そのままでしたね~。末子は追放し、上の子2人に裏切られた王は気が狂い荒野をさ迷う。
全体の淡々としたゆっくり目の静かな空気感はやはり黒澤さんです。仲代達矢演じる秀虎の面相メイクが実に不気味で妖怪じみていて素晴らしかったですね。荒野の激しい蝉の声、呆けたような間のある演技、あそこのシーンは虚しさを感じられる良いシーンですね。炎上した城からでてくる秀虎の狂った表情も良かった。
ただ、例えばいくら狂ったため見逃されているにしても、れっきとした殿であった人物が、守り手もなく荒野で暮らしていられるものだろうか。そういう意味では現実感はない。城跡のシーン、ここでの狂言師と秀虎のまるで問答のような頓珍漢な会話が興味深い。狂ったというよりうちの痴呆の祖父のようでした、たまに正気に戻るところも似てます。最初は浮いていると思っていたピーターは、非常に味のあるキャラクターでしたよね。
衣装の派手な色彩は、担当がワダエミさんだったからのようです、なるほど納得。そういえば映画全体も色彩がかなり目立ちます。
ただ、やはり役者の演技力も含め、どうしても白黒時代よりもパワーダウンを感じてしまうのは、仕方ないことなのでしょうか。
唐突に現れるラストのメッセージ性、これはどうも納得できなかった。
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