アニメ・CG・人形劇

リメンバー・ミー

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【概略】
天才的なギターの才能を持つ少年ミゲルはミュージシャンを夢見ているが、過去の悲しい出来事が原因で、彼の一族には音楽禁止の掟が定められていた。ある日ミゲルは、憧れの伝説的ミュージシャン、デラクルスの霊廟に飾られていたギターを手にしたことをきっかけに、まるでテーマパークのように楽しく美しい「死者の国」へと迷いこんでしまう。ミゲルはそこで出会った陽気で孤独なガイコツのヘクターに協力してもらい、元の世界へ戻る方法を探るが…。
アニメーション

.0★★★★☆
映画館鑑賞。(吹替)
日本でいうところのお盆の風習にあたるメキシコの祝日「死者の日」を題材に、音楽を禁じられた一家の少年ミゲルの冒険や家族との強い絆を描いた本作。
もうヘクターが登場してすぐに、ああ、この人が「件の父親(ひいひいおじいさん)」なんだろうなあとわかってしまうのですが、そんな理解や先読みなんてどうでもいいくらい、良かったです。
本作での感動のポイントはそこではなく、原題の「ココ」の意味するものとどうしてあの曲が作られたのかを考えると、とても切なくてあたたかい気持ちになる。
死者の国のカラフルな世界観も好きだなー!
また、主人公ミゲル役の男の子の歌が上手。つい涙がでてしまうラスト10分の「リメンバー・ミー」は、とくに。
序盤にココひいばあちゃんがなんだかリアルな感じで、「パパが戻ってきたの?」とか言うのが認知症の祖父母みたいでせつなく感じてたのだけれど、そこが伏線にもなっていたのね。
ミゲルの憧れのマリアッチは、実は卑怯で貪欲な男だった。十八番である「リメンバー・ミー」は勿論、数々のヒット曲も、すべてヘクター(ミゲルの実のひいひいおじいさん)が作った曲で、彼を毒殺して奪ったのです。しかも、リメンバー・ミーは大衆に向けて作った歌ではなかった。それは、愛する娘ココのために作った曲だったのだ。
家族の「歴史」の上に自分の人生が成り立っているという、ある意味とても深くて、分かり難いようなテーマを、アニメで落とし込んでくるのだから凄い。予告編みて、少年がギターをジャララン、地味だな。と思った自分が恥ずかしい。
現世で自分を覚えている人が誰も居なくなった時、人は二度死ぬのだ。なんだか、それが日本で問題になっている「孤独死」と同じものを感じて、悲哀を感じた。
「家族に会いたくなる」なんて安っぽいキャッチじゃなくて良かった。家族との絆が描かれてはいますが、生きてる人だけじゃなくて、これまでに生きてきた人、その人達が自分の命を繋いでくれているのだと、色々な人に支えられて生きているということを思い起こさせてくれる素敵な映画でした。
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ジャンル: 映画
テーマ: 映画感想
( 最終更新日: 2020/10/17 Sat )
  • コメント: 10
  • トラックバック: 12
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コメント

私も予告編は何度も見て、それほど楽しみでもなかった(「アナ雪」のほうが目当てだったりする)ですが、よくできていましたねー。
じいちゃんが誰か、まったく気づきませんで、けっこうブラックな筋書きです。
リメンバー祖先!

>ボーさん こちらにもありがとう。

予告だとなんか…超地味でしたよね
カラフルな世界観は実際の死者の日とかぶるものの、
子猿っぽい少年がギターじゃららんと鳴らしたところで…?で…?
って感じでした。
期待して観る大作ではないかもしれませんが、良作でしたね

えーひいひいじいちゃんはすぐわかりますよ、
お察しって程度の謎でもなんでもなかったです

ちなみにミゲルに超似てる青年が同僚に居ます。
童顔、福耳、顔全体が小さくて丸い。子猿。

ヘクターがどんな人生を送ったか、という事が気になりました。ミゲルが来なければ、
彼は生者の国に還って来る事も出来ずに、消えてしまう運命。

死者の国が繁栄していて、貧困や苦労とは無縁のように見えて、
実際には、そこにも社会があり、競争もあるというもの。

親孝行どころか、家族を救う結果に至るもので、音楽の否定、憎しみは、
これだけ音の溢れる世界で、随分思い切ったことをしたな、と思いました。

劇場にまで行って観て良かったです。

>隆さん こんばんは。

じんわりと心あたたかくなるような作品でしたね
日本では受け入れられやすい物語でした
ヘクターは家族を捨てられなかったわけですが、
そのすれ違いは哀しいですね
家族は、ママ・イメルダは、ずっと自分たちを捨てたと思っていたのですから
死者の国で再会はしなかったのでしょうかね
チョリソーで「有名」なヘクターでしたし。
序盤の設定は凄いですよね、音楽がまるまる禁止って、自分たちだけじゃなく
他人にも厳しかった^;
音だらけの世界で音楽を禁止し靴を作っていくことで、ある意味で自分たちを守っていたのかもしれませんね。代々靴さえ作っていればいいと。
でも、もしかしたら、ミゲルのように音楽家とまではいかないまでも、音楽に興味を持った家族だって、実はいたかもしれないのに、そこは少し残酷ですね。

  • メビウス
  • URL
分かり易い・・でも泣いちゃうw

makiさんこんばんわ♪TB&コメント有難うございました♪

ヘクターが登場してからは自分もミゲルの一族のルーツと照らし合わせながら色々思考して鑑賞してたので、確かに道中から結構分かり易い感じにはなってましたよね。ただ分かってはいる展開が多くても、映像で実際見るとブワッと涙腺を刺激されるのでピクサーはやっぱり泣かせ上手だなぁ・・と^^;
おばあちゃん子でもあったせいか、ママココにリメンバー・ミーはかなりヤバかったですw

>メビウスさん こんばんは。

登場した瞬間わかるというのも、ちょっと気持ち残念ではありますが、
メインはその「誰がひいひいおじいちゃんなのか」ではないので、
あえてわかりやすく作ったのかもしれませんね。

メビウスさんはおばあちゃん子だったんですね。
ママ・ココのシーンはかなりやばかったのでは…。
あそこ、おばあちゃんが「お母さんに何したの!」とか激怒していたのに
その母親がしっかりと意思をもって思い出してくれていた事に
感激している様子もまた感動に繋がるんですよね。
ママ・ココが現実味ある老人の描き方をされてて、そこは単純に凄いと思います。
私は認知症の祖父がいたので、ふと祖父を思い出しました。
祖母は、まだ若く60台で病院の医師が週末にいない体制のせいで容体急変で亡くなったので…。

  • 白くじら
  • URL
こんにちは。

私も吹き替え鑑賞でしたが、ミゲル役の子がうまくって、ラストのリメンバー・ミーはとても素晴らしかったです。

ひいひいおじいさんの謎や、誰がヘクターを忘れているのかとかの謎は先読みできましたが、そういう謎が分かっていても、素直に感動してしまう演出もよかったです。

このところ、実写ではなかなか泣かないのですが、アニメの方が泣いてしまいますね。(^^) あ、昔からかも。

>白くじらさん こんにちは。

ミゲル・バージョンのリメンバー・ミーが結構頭から離れなくて^;
フレーズが…。

先読み出来過ぎてて大丈夫かな…と思ったら、
そのまま王道の展開からわかりやすいオチに落ち着くところまで、
予定調和ではあるものの、感動作でしたねえ

アニメだと、わかりやすさ直球で心に響いてくるからかもしれませんね

  • fjk78dead
  • URL

ヘクターの相棒のマリアッチ、家族を捨てて歌を選んだ形になっているけど、何かそれなりに理由があるんだろうなと思って見てました。

>fjk78deadさん おはようございます。

家族を捨てて歌を選んだってのも、
ヘクターの真似の設定なのかもしれませんね。
結局は名声のためなら何でもする男でしたからね~
夢のために故郷を捨て成功したと聞けば、
美談にも通じますからね

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