
【概略】
第2次世界大戦下のハンガリー。双子の兄弟は両親と離れ、祖母が住む田舎へ疎開させられる。過酷な日々を送るうち、大人の非情な世界を知ったふたりは自らの信念に基づき生き抜こうと決意し、成長していく。
ドラマ
.0★★★☆☆
主演の双子の美少年は、素人だっていうんだから驚きだ。
映画は双子の目線で起こったことをそのまま日記のように淡々と流していき心理描写は一切描かれていない。
疎開してきた双子は意地悪な祖母に引き取られ、その村で暮らすことになる。双子は、生きるための労働を覚え、聖書と辞書だけで学び、様々な「訓練」を自らに課すことで肉体と精神を鍛えていく。残酷さに慣れなければならない。母を忘れ、痛み、飢え、寒さに耐え、そして人を殺す方法も考えた。そして、目に映った真実だけを克明にノートに記す。お互いの手を決して離さず、なぜ彼らは心も身体も強くならなければいけなかったか。
生き抜くために子供が盗みや殺人を犯しても戦争の混乱の中に消えていく。ただ2人の場合は悪も正義も併せ持った冷徹さを兼ね備えていた。
ボコボコにされた時、ゲイの美少年好きのナチス将校に助けてもらったり、友達になった少女は戦争が終わってソ連軍の戦車が来ると喜んで手を振り家に招き入れ兵士に犯され殺されてしまったり。聖書は「汝殺すなかれ」と教えているが、殺しは日常なのだ。
親切にしてくれた靴屋さんをドイツ軍に売った司祭館の娘を爆殺(未遂、顔は滅茶苦茶になった)。友達になった少女が死亡したためその母親を小屋ごと焼殺。発作に苦しむ祖母を約束どおり毒殺。こう書いていくとどんなサイコな双子だよ、と思われそうですが…彼らは彼らなりの正義で動いている。双子の目に映る世界の暗さが半端なかった。
会話が少なくて双子の一心同体ぶりが理解出来るので、片方はハンガリーに残り、片方は地雷を踏んで命を落とした父親の遺体の上を歩いて西側へと渡り、それぞれ別の道を歩き始めるという衝撃のラストにはちょっと驚いた。別の道を歩む二人、それこそが最後の「訓練」だったのかも…。
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