
【概略】
ブエノスアイレスの刑務所で出会ったテロリストのヴァレンティンとゲイのモリーナ。ふたりはモリーナが好きな悲恋映画の話で徐々に打ち解けるが…。
ドラマ
.5★★★☆☆
ブエノスアイレスの刑務所。二人の男が同じ監房に入れられている。テロリストのヴァレンティンと、ホモセクシャルのモリーナ。二人とも犯罪者だがその罪の質は全く違うもの。気にもとめないヴァレンティンに、モリーナは映画の話をする。やがて全く共通点のないように思われる二人が、心を交流させていく…。

女性っぽいモリーナの仕草や雰囲気が最初は違和感あるんだけど、次第にその愛と美しさでそれを忘れる。
戦時下のドイツの映画の話、自分の愛の話、「蜘蛛女のキス」というタイトルも彼の語る話からとったもの。
腹痛や潰瘍を互いに経験しつつ、その間にも映画の話は続いていく。

互いの身の上を話すことになる二人は心を通わす事になるのだが、それもまたひとつの嘘でもあった。モリーナは政治犯であるヴァレンティンから情報を引き出す役目を刑務所長から与えられていたのだ。しかしモリーナの本当の気持ちは…。
悲しいストーリーだが、とても美しい。ヴァレンティンを愛したために、モリーナは一晩だけの愛を請い、ヴァレンティンもそれを受け入れる。

モリーナは出所後にある行動をするんですが…愛に殉じてしまうんですね。その姿は、モリーナが語った映画の中のヒロインの姿に重なる。でも、映画の中のヒロインに後悔がなかったように、モリーナにも後悔はなかったろう。本当に愛する人に出会えたのだから。
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