
【概略】
2005年でデビュー50周年を迎えた漫画家・楳図かずおによる戦慄と恐怖の傑作短編の映画化。妻に起きた異変と対峙する男の恐怖を描く。「蟲たちの家」「絶食」の2作品を収録。
ホラー
.0★★☆☆☆
デビュー50周年を迎えた楳図かずお原作漫画のうち、60年代から「まだらの少女」、70年代から「蟲たちの家」「ねがい」、80年代から「絶食」「DEATH MAKE」、90年代から「プレゼント」6本をピックアップして映像化、2本立てで2005年の夏に劇場公開されたもののDVD化。
楳図漫画の実写化は難しいと正直思います。ただしょこたんはこの映像化に出られて嬉しかったでしょうねー。
【蟲たちの家】
妻が虫になるまでの経緯に、夫と妻の見解に食い違いがあり、映画では、夫妻双方の視点からの話が展開します。
しかしどちらにせよ、最後は妻が恐怖に駆られ、部屋に逃げ込み、「自分は虫だ、自分は虫だ…」と唱え続けて…といったところまでは同じ。
似ているけれど微妙に違う視点。やがて妻が虫になった後、夫は、浮気相手である大学の後輩を家に連れてきます。妻が虫になってしまい自分が正気かどうか確認したいからと。妻は蜘蛛になった(と思い込んでいる)ので蜘蛛の巣のように部屋を飾り立てているのだと夫が説明。後輩と夫はキスをする。夫と後輩が1階に移動した後、妻のいとこが現われ、後輩の女性に気絶させられてしまう。やがて2階で大きな音がしたので、後輩が1人で2階に様子を見に行くと…後輩がどさっとどう見ても死体状態で現れたかと思うと不自然に起き上がって階段の方に引っ張られるようにして姿を消してしまう、ここが見どころかな。不自然さが気持ち悪い。
ただそのあと、大蜘蛛と化した妻が1階に降りてきて、夫を絡め取った瞬間、蜘蛛は、鋏を片手に持って振り上げた妻の姿に戻ったのでした。そんな妻を抱きしめ、夫が一言「ようやく元に戻ったか」。妻のいとこが気付いた時には、妻は夫とはもう問題ないと言うのであった。そして夫は…蟲になった。
楳図先生においては心理的な恐怖を描いたちょっと大人な作品なのですが、映像化は失敗。「えっなにこれ…意味わかんない」となること必須です。
【絶食】
「もう、一生トイレに行かないからね」「浣腸だ、浣腸!今すぐ、薬局に行って浣腸を買ってこい!」なんつー最後。
そもそも映像化の時点で短編原作が監督が勝手に考えたネタをいれられたりしてるので、ほぼ違う作品になってしまっています。
女の子なら、ダイエットという言葉には敏感なはず、特に思春期で好きな男の子がいるとなったら尚更。その分主人公に感情移入しやすいはずなんですが、妹の存在とかをいれてわざと短編を引き伸ばした要素をいれたせいで、つまんない作品になってる。原作ではちょっとぽっちゃり女子があこがれの男の子に告白するも、体型のことで振られ、食欲を我慢して毎日の食事を減らしついにダイエットに成功する。再び意中の男の子に告白して、今度はOKを貰い喜ぶ女の子。だがその瞬間意識をなくしてしまい…。気がついたら女の子は血まみれ。食欲が開放された女の子は男の子を食べてしまったのであった、というコンパクトな話だったはず(うろ覚えゴメン)。
劇中では本物の知子を演じたデブス役の少女、よく演じたよ…。鉛筆をカッターで削るシーンが何回かあるが、これが「身を削って」るという演出なんだろうね。


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