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裏切りのサーカス

2018/01/16  16:24
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【概略】
東西冷戦下、ある策略により英国諜報部を去ることになった老スパイ・スマイリーは、ソ連の二重スパイを突き止めるよう命じられる。
サスペンス



.0★★★★★
ティンカー(鋳掛け屋)、テイラー(仕立屋)、ソルジャー(兵隊)、プアマン(貧乏人)…どっかで聞いた響きと思ったらこれマザーグースの一遍ですね。「Tinker, Tailor, Soldier, Sailor, Rich man, Poor man, Beggarman, Thief. (ティンカー、テイラー、ソルジャー、セイラー、リッチマン、プアマン、ベガーマン、シーフ)」。敢えて言うならばベガーマン(乞食)がスマイリーにあたるのでしょうか。

これは確かに、何度か観ないと本旨が分からない作品かもしれないです。ストーリーはそれほど複雑化はしていないのですが、どの時点で解ったのかという点に関して、どうにも謎が残る1回目鑑賞。2回は見ないとですね。

ゲイリー・オールドマンが演じるのは、内に秘めたる感情を持つ身ながらも、口角をあげるくらいしか表情がないような、無に徹する演技がとってもナイスミドルなコートを着て佇む姿が非常に似合っているスマイリー。その他にコリン・ファース、トム・ハーディ、マーク・ストロング、ジョン・ハート、ベネディクト・カンバーバッチその他…。

〈コントロール〉のジョン・ハートほか四人の幹部の配役が豪華です。
〈ティンカー〉役が、トビー・ジョーンズ。
〈テイラー〉役が、コリン・ファース。
〈ソルジャー〉役が、キーラン・ハインズ。
〈プアマン〉役が、デヴィッド・デンシック。

非常に淡々としており、あまりにも抑えた演出なので、一回見ただけではわかり辛いという欠点もありますが、何度か見ることによって新たな発見が生まれていく噛み応えある作品である事は確かでしょう。英国独特の暗く重厚な雰囲気がありスリリングでもある。監督は「ぼくのエリ 200歳の少女」の方。わかりやすい伏線や思わせぶりな演出を極力廃した描写は、とても知的であり不穏と緊張感さえも感じられる。

哀しいまでに翻弄される諜報員たち。冷戦下の攻防や駆け引きの中でどう生き残るのか、また任務を遂行する為に大切なものすら切り捨てざるを得ないスカルプハンター達の決断も見どころ。…とはいっても、顔と名前とコードネームを一致させるのに多大な脳力を費やしてしまうこと必須^;

この作品における「わかりにくさ」を緩和するために「相関図」をみておこうとか、ストーリーを把握しておこうなどの措置がとられてはいましたが、確かに何もないで観ると頭混がらかるかも。私はPC上に相関図を置いて見ました。あと前半の会話も聞き逃さないことが重要になってくる。

ただスマイリーが勝手に真相を導き出すのを見てる分には楽なのですが、「なぜわかったのか」を考えると、非常に説明不足でそのポイントを見つけるのがとにかく難解に感じます。もぐら自体はこの中で顔をみてすぐ分かる人です。ある意味わかりやすい事ではあるのですが…。

ゲイリーやコリンには(特にコリンには!!)勿論ときめきましたが、個人的にはベネディクト・カンバーバッチのピーター・ギラムに新たな胸キュン要素があったわー。しっかしコリン・ファースの可愛らしさはもうほんとおかしい!この人おかしい(私が一番頭おかしい)!!ジムが余計に切なくなるなぁ…。ラストの行動も、その愛ゆえなのでしょうね。パーティの時の笑みと視線が二人の関係をきっちり表してたわ。そうそう、切ないといえば涙を流すピーターもなのでした(おまえもかと…笑)。

服装もきっちりとしたスーツ姿で、スーツ萌えしてしまうわぁ。全体的に非常に好みな一作なのでした!そういえばリッキー・ター役はマイケル・ファスベンダーにオファーが来ていたんだそうな。うう、そっちで見たかったな!完璧な布陣になったかも(なんだそれ)。

メガネのレンズ越しに、過去〈カーラ〉と接触した様子を淡々と語るスマイリーの陰影のある風貌がうつる。あまりにも静かで凄みのある渋い佇まいに、敵対しながらも通じるものを感じたんじゃないか、なんて想像をしてしまったりもした。だからこそ〈カーラ〉もあれほどスマイリーを恐れ、件のライターを愛用していたのではないかと。まるで向かいの席に〈カーラ〉が存在していたかのような錯覚に陥る演技でしたね。


-----------【2回目・3回目 同日鑑賞/おはなし】------------
英国諜報部、通称サーカス。

サーカスを率いる〈コントロール〉にはずっと疑念があった。
サーカスの幹部の中に東側のスパイがいる。
二重スパイ【もぐら】は一体誰なのか。

そしてハンガリーに派遣されたのが、実動部隊スカルプハンターのジム・プリドー。

亡命したがっているハンガリーの将軍を連れてくる役目だった。
この将軍が【もぐら】の正体を知っている。
しかし作戦は失敗し、ジムは撃たれてしまう。

この失敗の後、〈コントロール〉と右腕のスマイリーはサーカスを去ることになるが、スマイリーは1年ほどしてレイコン次官に呼び出される。

少し前、レイコン次官宛てにスカルプハンターのリッキー・ターから緊急電話があり、サーカス内部に【もぐら】がいると伝えてきたのだ。

イスタンブールに派遣されたリッキー・ターは、ソ連の外交官に近づこうとしたが、その内縁の妻イリーナを愛してしまう。
彼女は【もぐら】の正体を知っているという。
そのことをサーカスに打電して返事を待つが、なぜかソ連側にばれ、イリーナはどこかに連れて行かれてしまう。
それと同時に現地諜報員が惨殺され、ターの口座に大金が振り込まれたことで、サーカスは彼が寝返ったと信じた。
レイコン次官に緊急電話をかけたターは、【もぐら】を探し出すことさえ出来ればイリーナを助け出せると信じていた。

スマイリーに【もぐら】を探しだすことを依頼する次官。
スマイリーにとって【もぐら】の存在は初耳であった。
しかも今は亡き〈コントロール〉は自分すらも疑っていた。

スマイリーは信頼の置けるスカルプハンターのリーダー:ピーター・ギラムとメンデル元警部と共に【もぐら】を探すことになった。

【もぐら】候補はこの4人!

“ティンカー”ことパーシー・アレリン
“テイラー”ことビル・ヘイドン
“ソルジャー”ことロイ・ブランド
“プアマン”ことトビー・エスタヘイス

コントロールが退いた後は、アレリンが実質リーダーとして「ウィッチクラフト作戦」によって功績を挙げていた。
ウィッチクラフト作戦とは、謎のソ連深部諜報ソースのこと。

サーカスの組織は現在サーカスを率いているアレリンによって改変されていた。
スマイリーはギラムに命じてこの1年の間に解雇された者のリストを手に入れ、まず古株の調査員だったコニ-・サックスの元へ行った。

そこで知ったのはロンドンのソ連文化担当官であるポリヤコフがパレードで軍人から敬礼を受けていたという事実。
軍人から敬礼を受けるのは元軍人。彼こそソ連が派遣したスパイのはず。

また、死んだはずのプリドーに1000ドル支払われている事を知る。だとすればプリドーは生きているのだ。
そう、彼は生きていた。田舎の教員となって。

またターはスマイリーの自宅に隠れていた。
追われる身となっていたターは経緯をスマイリーに話す。
ギラムはスマイリーに言われ、資料保管室より保安課の昨年の11月の当直日誌を盗み出す。
それにはターが確かに送ったはずの電報の日付のページがあったはずだが…破られていた。
このとき確かにサーカスのなかに【もぐら】がいると確信する。

スマイリーはギラムに、一度だけ会ったことがある〈カーラ〉との邂逅を話し出す。

ゲルストマンという男を説得して西側に亡命させる事が目的だったのだが、
つい自分を投影させ妻を引き合いに出して説得を続けるも失敗。
やがて男はスマイリーの妻アンからの贈り物のライターだけをもって、死が待つ祖国へ帰国した。
それが〈カーラ〉。

スマイリーにこの先は危険であり身辺整理をしておけといわれたギラムは、
同棲相手である男性と別れることにして一人涙を流す。

また、盛況なパーティのなか、妻アンの不貞を見てしまったスマイリーは激しく動揺するという過去の回想シーンが挿入される。

またハンガリーでの事件の夜、当直だった担当官ウェスタビーは、
真っ先にビル・ヘイドンがやってきて激しく動揺し、プリドーの自宅からサーカスへのつながりを消した事実を話す。

ヘイドンがクラブの電信機で知ったというのは実は嘘で、ヘイドンはスマイリーの家にいたのだ。(スマイリーは出張中だった)
つまり妻のアンの愛人はヘイドンである。

スマイリーはプリドーのもとを訪ね、経緯を聞いた。
コントロールは【もぐら】を暗号名で知らせて欲しいと言っていた事。
捕まったジムは酷い拷問を受けていたが、【もぐら】のことだけは言わなかった。

しかし連中は【もぐら】のことは知っていた。彼らが知りたかったのはどこまで知られているかなのだった。
「彼女を知っているか?」「いや、知らない」ジムの目の前で銃殺された女性はイリーナだった。

しかしその後イギリスに戻った彼のもとをトビー・エスタヘイスが訪れ、彼に1000ドルと車を与え、暗号名の事も忘れるようにと忠告し去った。
なぜエスタヘイスが暗号名のことを知っていたのか?
沈思黙考するスマイリー。

やがてスマイリーはアレリン一派の権力の源泉「ウイッチクラフト作戦」に注目する。
ソ連中枢深部からのどこか胡散臭い情報提供。
スマイリーはそれが実は対ソではなく対英二重スパイ作戦なのではないか、裏ではソ連の大物スパイ〈カーラ〉がアレリンを操っていると突き止める。
ウィッチクラフト作戦を通じてアメリカの情報を得ること、それが作戦の正体。
つまりはポリヤコフをサーカスが操っていると思いこんでいる幹部たちの裏をかいて、実は【もぐら】が情報をポリヤコフを通じて〈カーラ〉に渡していたのだ。

ターを使った陽動作戦と同時にエスタヘイスへの尋問を通じて、
ポリヤコフと会う隠れ家の住所を得たスマイリーは、【もぐら】に罠を張る。

そして隠れ家に来た人物は…ビル・ヘイドン。【もぐら】の正体だった。
彼がスマイリーの妻アンに近づいたのも、スマイリーを動揺させるためだった。

尋問された後、ソ連に送られることになったヘイドン。
プリドーを取り戻したのは彼の尽力があったから。
彼はハンガリーに行く前にヘイドンに警告しに来ていた。
プリドーはヘイドンが【もぐら】だと気づいていたのだ。

やがてヘイドンが収監されている家の外でヘイドンに向かって銃口を構えるプリドー。
一瞬、視線が合う二人。
かつてのパーティでの、笑みを含めた二人の絡んだ視線…
愛する相手だからこそ、決着をつけねばならない時もある。
ヘイドンも彼が来る事を望んでいたように思える。
眼下を撃たれ血の涙を流したように見えるヘイドンと、一筋の涙を流すプリドー。

スマイリーの家にはアンが戻り、スマイリーは事実上サーカスのリーダーとして復帰するというラスト。

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<総まとめ>
結局は静かな二重スパイ合戦のお話。
ウィッチクラフト作戦とは、ソ連中枢を抱き込んだ二重スパイ作戦であったが、実はソ連側がそう見せかけていたものであり、実際はもぐらから逆にイギリスからアメリカの情報を受けるための仕掛けであった。その舞台となったのが、ロンドン市内の「隠れ家」。
ヘイドンが実際のところどうして東側の手先になったのかはわからないが(理由は述べているが、それが真実とは思えない)、その裏では常に〈カーラ〉が動いていたということ。

<スマイリーの罠?>
イリーナから真相を聞いて知っているリッキー・ターの存在はソ連と【もぐら】からすれば弊害だ。そこでサーカス幹部に彼の所在を明らかにする事で囮にして、その情報を真っ先にソ連へ伝えようとする人物を捕まえようというものだった。実際にそれで【もぐら】はまんまと捕まるのだった。

<個人的な見解>
「どの言葉」でスマイリーがピンと来たのかということに固執して考えていたのですが、言葉ではなく、直感ともいえるものでスマイリーには【もぐら】の正体はなんとなく読めていたのではないかと思えてきました。
罠にかけたことで、疑いからはっきりと黒と納得出来た真実だったのではないだろうか。
書きながら頭を整理していたのですが、またなんだかよくわからなくなってきちゃった。また観なければ?(笑)
一貫しているのは、「切ない物語」であったということ。男同士の愛情(この頃はまだ禁制)もそうですが、全体にどこか物哀しい話であった。
ラストの「La Mer」が流れるパーティでのくだりからエンディングまでの流れが鳥肌が立つほど素敵です。何度も繰り返して観ちゃった。
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