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バティニョールおじさん

2018/01/10  13:34
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【概略】
ナチス・ドイツ占領下のフランスを舞台に、ひょんなことからユダヤ人の子供をかくまうことになった男の姿を描く。
ドラマ



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ナチス・ドイツ占領下のフランスを舞台に、普通の一般市民のおじさんがユダヤ人の少年少女のためにスイス逃亡に同行するという話がコメディタッチで描かれる心温まる戦争映画。あまり悲壮さを感じさせません。

肉屋のバティニョールおじさんが少年の家族が残した絵画を画商に売って得たお金を逃亡資金に使って、彼らの逃亡幇助をするのです。時代を考えればこの時ユダヤ人のために普通のフランス人がこれを簡単に出来たかといわれれば、なかなかそうは出来なかったろう行為である。しかもバティニョールおじさんは家族をパリに残して、少年・少女のためにスイス行き同行を決意するのです。最初は正義感というよりは、巻き込まれたから「仕方なく」という感じで。この「仕方なく」が後から効いてきます。

口うるさい妻と世渡り上手な娘、その娘の婚約者で対独協力者のピエール=ジャンに囲まれながらそこそこ平凡に暮らしていたバティニョール。ある日ピエール=ジャンの密告により、隣人のユダヤ人医師の一家が強制連行される。やがてその空き部屋はバティニョール家の手に渡ることとなるが、ある晩、客人を出迎えるためドアを開けるとそこに少年がポツンと立っていた。「おじさん、ぼくの家で何してるの?」

そう、この少年こそユダヤ人医師の息子で12歳になるシモンだった。シモンは、ドイツの強制収容所へ護送中の列車から逃亡、必死の思いで自分の家に帰って来たのでした。

バティニョールにとっては寝耳に水の話でしたが、子供のシモンは自分の家に戻れたと思い無邪気に「お腹がすいた、飲むものも欲しい。パパたちは?」と部屋に入ろうとしたので、咄嗟に匿うことになる。「仕方なく」しらみだらけのシモンを洗ったり、「仕方なく」食事の世話をしたり、結局あれこれと世話を焼くことになるのですが、「なんで俺がこんな目に」とぼやきながら、挙句の果てにはシモンの従姉妹たちまでやってきてそろそろ家族にも隠しきれなくなってくるのです。バティニョールはなんとかして子供達を安全なスイスへと逃がしてやらなければと、命がけの国境越えを決意するのでした。

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二人の関係は、肉屋のおじさんと隣に住んでいたユダヤ人少年ですから、これは無償の人間愛に他ならない。仕方なく面倒をみているうちに面倒事に巻き込まれてしまったのですが、家族に軽んじられている男の、自分の存在価値や人としての義務、正義について初めて身を持って意識し始める成長なのだ。

面白いのは娘の婚約者を娘自身が軽くそれもどちらかといえば嫌悪をもってみていたこと。

シリアスなテーマを内包しつつコメディチックなのは、決して悪意からではない。より人間らしい描き方をしようと試みたのだろうと思える。それは他人を思いやる心を失わないで欲しいという祈りにも似た描き方だったと思う。

ただ無償の愛だけで人は命を懸けることなんてできやしないから、二人の間には「仕方なく」よりもより近い信頼関係が築かれていた。シモンが警察署に連行されてしまうシークエンスがもっとも顕著ですが、ここのバティニョールの「ウソ」は感動的でした。

またスイスへ向かう途中、バティニョールと子供たちを見かねた普通の人たちが無言で助けてくれる善意で、心があたたかい思いでいっぱいになります。当時の悲惨な思いをした人がたくさんいるであろうなか、それでも、助けようとしてくれる善意があったことは、事実なのでしょう。ドイツ軍将校の怪我に注射器をあてたりと医者のふりをしてあたふたする様も面白かったです。

無邪気な少年の傲慢さや意地悪さも、下手にお涙ちょうだいな感動系よりも味があって良かったのではと思います。
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